ナイツの塙さん銀シャリの橋本さんだったかが、ミルクボーイの漫才はあのシステムでずっとやってきて、笑いは取れるのは間違いないし、良いシステムだが、”コーンフレークが降りてきた”(個人的解釈だけれども、コーンフレーク、次点の最中はあのネタの相応しい概念だ)って言ったのが切実にわかる。いくら頑張ったところで、斧では磨き上げたところで、M-1を取るまでのネタにするのは難しいだろう、というのを実際に考えてみて痛感した
「あ、どうもーありがとうございますー。今、”エクスカリパー”をいただきましたけどもね」
「ありがとうございますー」
「見た目だけはかっこいいですからね、ありがたいです」
「アイテムボックスに入れときましょう」
「うちの元勇者のじじいがね、昔魔王を倒した武器があるらしいんやけど、その名前を忘れたらしくてね」
「魔王を倒して、なんなら後世に伝説の武器として残るやつ忘れてしまうってどうなってんねん」
「まあ、色々聞くんやけどな、全然わからへんねん」
「ほな、俺がね、じじいが魔王倒した武器をね、一緒に考えてあげるから。どんな特徴ゆうてたか、教えてみてよ」
「持ち手の棒があって、その先に厚くて重い台形っぽい形状の刃(やいば)がついてるやつやってゆうねん」
「あー、斧やないかい。その特徴は完全に斧やないか、すぐわかったやんこんなもん」
「でもな、ちょっとわからへんのよ」
「なにがわからへんのよ」
「俺も斧と思ってんけどな、じじいが言うには、ほとんどの勇者がこの武器で魔王を倒してるって言うねん」
「ほな、斧と違うかー。斧は戦士とかの脇役が使うやつやからなー。色んな勇者思い浮かべても斧持ってるビジュアルがハマるの、親父のオルテガぐらいなもんやからね。魔王倒し損ねた。スタイリッシュさが全然ない。無骨すぎて、斧側も、なんぼ攻撃力高くても最終決戦で俺使うんは違うんとちゃうかって思ってるはずやわ。ゲームやったとしたら、なんで最強の武器を斧にしたん? って製作者の常識疑ってかからなあかん。斧ってそういうもんやから。もうちょっと詳しく教えてくれる?」
「じじいが言うには、元々武器というより便利な道具として使われてたって(諸説あります)。特に木を切り倒すのに最適」
「ほな、斧やないかい! 武器に使えて、木を切る道具ってゆったらそら斧かのこぎり、のこぎりは楽器には使うけど、武器として有名なのはチェーンソーぐらいやからね? ちょっと待ってや、その元勇者のじじいって、魔界塔士、ではないよね?」
「Sa・Gaシリーズには関与してないゆうてた」
「ほな斧でしょう」
「でもな、じじいが言うには、だいたい冒険の最初に使うのがこれって」
「ほな、斧とちゃうやないかい。冒険の最初に王様から斧渡されたら、攻撃力過多でいきなり血みどろの殺戮劇の始まりよ。あんなもん、冒険初期に出てくる敵で斧の攻撃を受けきれるやつなんかおらんねん。大体切れ味悪い剣とかこん棒とかで何回も攻撃して倒すもんやから。斧の一撃で葬りまくってたら、ゲームバランスは崩壊、こんならくちんな旅でええんか? って自問自答してまうよ。斧とちゃう。他にもうちょっとなんかゆうてなかったか?」
「ネイティブアメリカンがよく使うイメージって」
「ほな、斧やないかい。ネイティブアメリカンが使う、トマホークね、アルゴンキアン語で「切るための道具」「tamahakan」が語源やねん。ネイティブアメリカンといえば、トマホークか弓矢ってのが相場やから。白人の騎兵隊に対抗できるんは、やっぱり攻撃力の高いトマホークか、アパッチのおたけびですよ。手刀を得意とするテガタナーズでもその力を見せつけた、ブロッケンJr.のベル赤と並ぶ、二大、手で相手を切り裂く技、トマホークチョップのモチーフにもなった技ですからね。ネイティブアメリカンといえばトマホークでしょうよ」
「俺もそう思ってんけど、じじいが言うには、これが岩とかに刺さってて、それを引き抜くことで勇者と認められるパターンもある」
「ほな、斧ではないな。っていうか、完全に聖剣やな、それは。神話とかでも定番は剣やねん。斧なんて池に落としてなんやかんやってぐらいしか伝説が伝わってない、木こりの持ちもんやねんから。他の特徴教えて」
「じじいによると、熊にまたがって、赤い布を身にまとったおかっぱの子供が背中に担ぐのが似合う」
「斧ではなくなったな、鉞(まさかり)やな。だいたい斧と鉞って素人では見分けがつかへんからね。刃先の幅が広いのが鉞らしいけど、あんなんクジラとイルカと一緒で厳密に決まりはないからね。決めたもんがちの世界やから。もう斧か鉞かどっちかでええんちゃう? 」